整骨院は京都桂の「浅野整骨院」

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〒615-8193 京都府京都市西京区川島玉頭町19-1

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浅野整骨院オリジナルストーリー   小説編 「メサ・レドーナ」④

2021年07月30日

部屋ではテラスへ出たい様子のアムルが窓をたたくのをやめようとせず、エレインは強硬手段「抱きかかえる」を発動していた。が、アムルもまた意思が硬かった。手足をばたつかせ暴れだす。エレインの表情はこわばり動揺している。けれど、ガレムもヘレーネもそして僕たちもただみつめている以外良い方法を思いつけなかった。そこにミス・エルザが山ブドウのワインを持って現れた。スケッチブックを携えて。
「ランスとヘレーネに力を貸してもらおうと思って。いいかしら?」
ミス・エルザはスケッチブックを広げながら子供たちに話し始めた。
先月、ガレムから港に放置されている酒樽の話をきいたこと。テラスのテーブルとして使おうと自宅のテラスへ運び込んでもらったこと。しばらく使用して先日から色塗りを始めたこと。そしていま、酒樽に描く絵を思案中だと。
「きっとあなた達ならステキな絵を描いてくれるんじゃないかと思うの。ここに何か思いつくまま描いてくれないかしら?アムルも手伝ってくれる?」
「ミス・エルザのテーブルに!?面白そう!!」
ランスとヘレーネがスケッチブックに思い思いの絵を描き始めると、アムルはおとなしくなった。エレインがそっと下ろすと二人の方へ歩み寄る。ヘレーネがペンを渡すとアムルもまた夢中で絵を描き出した。
「さっきお絵描きをすすめても嫌がったのに」
エレインが眉を潜め呟いた。ミス・エルザはエレインの背中にそっと手を添え話し出した。
「心を躍らせた二人のワクワクした音がアムルに響いたのかもしれないわ」
3人の子供たちはカラフルなペンを使い、楽しそうに描き続けている。それをぼんやりとみつめているエレインにミス・エルザは穏やかに言葉を続けた。
「そして、エレイン、あなたは私にリンゴパイをご馳走してくれるのよね。山ぶどうのワインより温かい紅茶の方が合うわね。お願いできる?」
そう言うと、ミス・エルザはにっこり笑い、席に着いた。ミス・エルザの微笑みにつられるようにエレインに微笑みが戻った。そして、それは僕たちにも伝染していた。
ミス・エルザの登場で、小さな騒動は治まり、みんなの笑い声であふれる時間となった。スケッチブックに描かれたそれぞれの力作はどれもユーモアがあり傑作ばかりだとミス・エルザはとても喜んでいた。3人の描いた絵がミス・エルザのテラスを彩るなんて、なんて素敵だろう!
夕方になり、リンゴパイと山ブドウのワインをお土産にもらい、僕たちは疲れも心地良く帰途へ着いた。

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