整骨院は京都桂の「浅野整骨院」

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〒615-8193 京都府京都市西京区川島玉頭町19-1

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浅野整骨院オリジナルストーリー   小説編 「メサ・レドーナ」⓶

2021年06月05日

ミス・エルザの話を半分くらい聞き終えたあたりから、次々と来院があり、すっかり午前の診療時間が過ぎていた。ようやくお待ちかねの昼食時間。二階には僕の大好物、スズキの香草焼きとカルボナーラそれにヒヨドリ豆のスープが待っているはずだ。今朝、妻のヴィヴィアンにリクエストしておいたから。
「ただいま!お腹空いた!」
ちょうど院を閉めた時、裏の玄関から息子のランスが帰ってきた。
「ミス・エルザが花屋の前のベンチでグランマ・マーリンと真剣な顔をして話し込んでいたよ。さぁ、こっちだよ。ヘレーネ!」
僕の自慢の息子、天真爛漫な話し方はヴィヴィアンにそっくりだ。
「おかえりランス。こんにちはヘレーネ。ランスから聞いているよ。ようこそ」
「こんにちは。パパ・アーサー」
透きとおった肌にブルーの瞳が印象的な少女だ。
「ヘレーネはミス・エルザのお隣に越してきたんだよ!」
「そうなのかい。ミス・エルザは街の事ならなんでも教えてくれるさ。モードレッドの牧場で生まれた子羊の数だって知ってるくらいさ。ここの街はみんな気のいいひとばかりだからすぐに慣れて楽しくなるよ」
僕らの声を聞きつけて、二階からヴィヴィアンが降りてきた。
「おかえりなさいランス。ようこそヘレーネ。さぁ、話の続きは二階で。せっかくの食事が冷めてしまうわ。ヘレーネの嫌いなものが無ければいいけど」
「ヴィヴィアンのスズキの香草焼きは最高だ。きっとヘレーネも気に入るさ」
昼食の時間、ヘレーネは質問責めにあった。ランチをじっくり味わえなかったかもしれないとあとで僕らは大いに反省した。
『メサ・レドーナ』は午後からも忙しい。ソンブレラ島は温暖でさまざまな海の幸に恵まれているため、漁で生業をたてている家が多い。漁師は午後には家に戻る。限られたスペースの船内作業で足腰を痛めたりすることもあり、午後からは漁師たちが多く来院してくる。その中にヘレーネの父親ガレスがいた。日に焼けて健康的な肌の奥にキラキラとゆらぐきれいなブルーの瞳はヘレーネが受け継いでいる。ヘレーネには3歳になる弟アムルがいるが、3歳になった今も口をきかないらしい。そのため母親のエレインはアムルにかかりっきりでヘレーネは寂しそうだったと。それがこの島へきてから笑うことが増えてきたとガレスは嬉しそうに話してくれた。
日曜の朝、ランスは早起きしてヴィヴィアン自慢の庭に咲く色鮮やかな花々やハーブを摘んで花束を作っている。僕たちは今日、ヘレーネのうちのランチに招待されているのだ。いいぞ、ランス。花束は紳士の必須条件だからな。

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